仕事をする上で、当然色々な能力アップした方が、できる幅が広がり、選択肢が広がるし、市場評価される=収入アップにも繋がる。
ただ、その人の今の能力は、生まれた環境からすでに影響を受ける。親や周囲の環境によって、言語能力、身体能力、数学的思考、デザインセンス、非認知能力、努力を出来る能力、等の付きやすさは大きく変わってくる。
それは仕方ない。今あるものはその人の環境と努力と選択の結果だが、子供の頃の環境はほぼ変えられない。
それらを所与の条件として、その上で、仕事の場に入った後に、入った時と比べて数年でどの程度成長するか、は以下の要素をどの程度持っているかによって変わってくる。
①やると決める到達基準の厳しさ
②自学力(メタ認知、何故/どのように/の思考力、ロジカルシンキング)
③認知バイアスの希薄さ(自分はこれぐらいしか出来ない、というガラスの天井を意識してしまうかどうか)
この中で、大部分の人にとって重要なのは③>①>②である。
①やると決める到達基準の厳しさ
まずはじめに、仕事においては求められる成果がある。これは工場で不良品見つけるでも、システムプロジェクトを期限通り品質期待値超えて完了するでも、起業して事業売上100億円作るでも、あたらしい真理を証明する研究でも、何でもだ。
その上で、それを実現するのに、自分の能力が足りているのかどうかがある。
そのギャップがあった場合に、どの線引きを自分に課すのか。
自分の今の能力だと、3か月かかると思われるところを1か月で終わらせる、と「期限」を厳しく設定することも一つ。
人事業務にも人事システムにも関わったことがなく、業務知識がないけどそのプロジェクトをやらせてもらう、「知識」の面でのギャップを追いつかせることも一つ。
このギャップが大きすぎると、相手から求められる期待の結果が出ないこともあるし、そのプレッシャーで本人がつぶれる可能性もある。
事業だと失敗することもあるだろう。
一方で、ギャップがほぼない状態であれば、自分の能力を伸ばす要素がないため、当然成長はしない。
結局、早い成長を目指すなら、到達基準を自分が思っているより厳しめに設定し、必死にそれをクリアすることを繰り返すのが一番である。
人は基本自分に甘い。
なので、ライザップのような商売も成り立つ。トレーナーに指導してもらうことで、甘い対応をなくしてもらう。
仕事においても、上司や顧客が厳しいところにあえて入っていくのも、強制的に甘えの環境をなくす上では重要である。
個人で取れる手段としては
・期限を決める。まず決める。そして期限を守ってやるようにする。
・依頼や相談されたことは断らない。断ろうとしているのが、自分を守ろうとしていると感じるのであれば、特に断らない。
・厳しい人や環境に所属し、どんどん受け入れて半強制的にやる状態を作る
等がある。これらを意図的に避ける人は、成長が止まりやすい。成長に必要なギャップを作らないからだ。成長には常に一定の苦痛が伴う。
ただ、この苦痛を薄める方法として自分が出来ることより少し大変な斜め上のことを、短い期間で繰り返す。そのために可能な限り足りないものを分解し解像度を上げ、細切れにして高速に回す。
概念的な話なので明確な出来た基準はわかりにくいが、意識してやっていると数カ月、数年後過去の自分で出来ていなかったことが当たり前に出来てることに気づく。
②自学力
①で到達基準、ゴールを決めたら、次はそこに至るためにどうするのか。
一番は、自分で工夫してクリア出来ること。
ただ、自分で工夫するには、ゴールまでのギャップに足りないものを解像度高く把握できる必要がある。
結局ここでも①の手段考える上でさらっと使われている
・メタ認知力(自分の思考や認知活動を客観的に見つめ、自己を理解し、行動を調整する能力)
がまず必要になる。自身を客観視出来ない人は正しく反省が出来ず正しい工夫が出来ないから必須能力と考える。
現状認識出来てギャップが理解できたら、その上で
・なぜなぜ思考(原因、真因の追求)
がしっかり出来て、何を解決できると一番効果的にうまくいくのか、を考えられる必要がある。(正確にはメタ認知という概念のなかに、この何故を考える能力も含まれている気はするが、ここでは分けておく)。
仕事上でのギャップは、お客様の視点に立って考えられていないから言葉が届かず不満溜まっている、ロジカルに短く説明出来ずMTG効率悪くクレーム、といったコミュニケーション関連スキルもあるだろうし、プログラミングの技術わかっておらずなんでもfor文使っていて処理が遅いし冗長、等色々あるだろう。
それらも、例えば何故お客様の視点に立って考えられていないと感じられるのか、何故ロジカルに短く説明出来ていないのか、といったさらに深堀が出来てないと、真に自分が改善すべきポイントが見えないので正しい方向に改善が出来ない。
この②は訓練でどうにかなる後天的に付けられるベーススキルに属するもので、仕事でも比較的当たり前に身につく人が多いとは思う。
③認知バイアスの希薄さ
この3つの中で、実はこれが一番難しい問題である。
何故なら、認知・バイアスは自分がそうだと認識自体していないことの方が多いからである。
今まで色々人を見てきた中で、いわゆる高学歴(日本だと有名国立大学+早慶あたり)の人は、①②が受験や部活ですでに結構高い水準を身に着けていて、それらで自信がついているので③も「自分は出来る」と思っているラインが高いので、自然に出来ている人が多い。(その中でさえ差はあるが)。
さらに言えば、それらの人はこの③も家庭環境で親に肯定される、愛情を注がれていて肯定感・安心感による自信(根拠は多数論文あるので探してみてね)がすでに小さいころにベースが出来ているパターンも多い。
一方で、偏差値レベルで言うとそれより少し下の大学層の人は、実は②部分ではなく、①や③の部分の課題、という点が中長期では大きい。
③は、想像するに、すでに学校では偏差値やスポーツの出来具合という形で序列が出来てしまうので、そこで③の意識面でのガラスの天井が出来てしまうのだと考える。
(ちなみに、ガラスの天井、は跳躍力のあるノミを、飛べるよりも低い場所にガラスの天井付けておいておくと、天井に頭ぶつける経験により、天井を取り除いても元の天井ぐらいまでしか飛べなくなる、という研究から来ている。無意識にそれ以上飛んでも頭ぶつかる、という学習するのだろう)。
ただ、一定数、明らかに過去経歴的にそこまで特筆するところなくても、数年で思った以上に成長する人がいる。それが③のバイアスが欠如してるタイプである。
ある人は30歳でアパレル業界辞めてアメリカの語学カレッジ→現地大学いって、弊社にも電話でインターン探している旨あって自分判断で面白いからと3カ月ほど受け入れ、その後アメリカのマイクロソフトに入社した人がいた(多分一時的には私より年収高かった)。
ある人は、営業やホスト経験もあり、IT業界転職してその後弊社に来て、最初半年ぐらいは要領も良くなく仕事力も高くなかったが、ある時点あたりから急激に伸びていって、今はフリーランスとして独立しているが収入はIT業界転職後から自分の知る限り3倍近くになっている。
他、知り合い教師からの話で、高学歴な高校の人は有名企業行ったりで安定的に収入が高めだけど、それを飛び越してすごい稼ぐ人は意外に偏差値50前後の高校にいた子が結構いる、という。
収入面はあくまで指標の一つでわかりやすい話なのと、特にビジネス分野では③との相性面で影響が大きい部分だと思っているが、この③の点の人の違いは、ある意味常識を知らない、あまり感じ取ることがない「バカ」なのである。
地方創生でも「よそ者、若者、ばか者」が地域を変える上で重要だと言われるけど、出来ると思ってやり続けてたら出来ちゃった、みたいな感触かもしれない。
③のクリア手段としては、考え方、認識を変えことが大切。
・実際うまく出来てる人でない人が、「それは無理だよ」「出来ないよ」「うまくいかないよ」と言っているなら、聞く意味はない。なぜならその人はその分野でうまくいかせたことがないから方法知らないのだから。
・時間軸を意識する。能力も他リソースも足りていない今にすぐうまくいくことは確かにない。ただ数か月後、数年後、だと出来ている可能性はある。
ただ、③に関しては、あくまでビジネスや社会変革という実行に重きをおく分野では重要だが、研究分野という真理の追究の上では好奇心や自頭の良さ、収集癖等といった能力面の方がより重要かもしれないので留意してもられば。(研究者ではないけど知人には多いのでそんなにズレてはいないと思う)。
成長とは、能力という資産を増やすことで、他に奪われない重要な資産である。
どういった分野の資産を増やすか、という点はあるが、能力自体も身に着けるには考える力と共に、如何に「やる」ようにするかが重要、という話。