酒の席で、仕事へのモチベーションから、何に重きを置くのか、という話になり、
喩え話でトヨタや三菱系と、ホンダや京セラ・パナソニックなどの違いに思い至った。
あくまで上記は文化・傾向がある、という意味で個々人を見た時は多様であることはまず注意事項として。
また、一部企業は実際過去にお客様として担当させて頂いたこともある経験値からも感じること。
トヨタや三菱系等は、どちらかというと徹底的な顧客第一主義、ユーザーが求めるものを
作り出す手法が非常に磨かれていると思う。
一方で、ホンダや京セラ・パナソニックといった企業は、技術主義や、経営理念で有名だったりする。
本田宗一郎氏、稲盛和夫氏、松下幸之助氏。
最近の一代で築いてきたことも影響しているとは思うが、会社全体としてこういった社会が良いから
このような製品を作る、という理念主義的な傾向があると感じる。
双方、経営理念に明文化されている内容の延長線上なのだと思う。
トヨタ:http://www.toyota.co.jp/jpn/company/vision/philosophy/ (注:初回記載時には顧客第一主義的な言葉があったとの認識があったが、2022年1月現在はそのような言葉がない。豊田章男氏になってから変わったと思われる)
三菱重工:http://www.mhi.co.jp/company/vision/contents/index.html
ホンダ:http://www.honda.co.jp/philanthropy/rinen.html
京セラ:http://www.kyocera.co.jp/company/philosophy/index.html
パナソニック:http://panasonic.co.jp/company/philosophy/principle/
前者はオープン・公正明大、顧客、世界的。
後者は生活改善、文化、人間尊重や従業員の物心両面の幸福、文化の進展。
前者は顧客第一主義に、後者は社会自体の幸福や改善に重きを置いた考えになっているのだと考える。
その違いは、例えば医者が目の前に犯罪者の重病人がいた時に、治療を施すかどうか、という命題に近いかと。
前者は、誰であろうと病人であり、それを治すのは医者の役目であり、そのために全力を尽くす、という姿勢。
後者は、仕事人として目の前にいたら治しはするが、それ以前に犯罪者入院お断りにする、犯罪発生抑制に務める、等制約をつけて姿勢全体に理念の筋を通す、というイメージだと。
前者を有名な『顧客第一主義』とすると、後者は『社会第一主義』だろうか。
業界としてトップになりやすいのは、『顧客第一主義』に徹するトヨタや三菱系となり、
『社会第一主義』のホンダや京セラ、パナソニックは熱烈な支持者がいる一方で、業界1位にはなりづらいのかと。
ただ、一方で『顧客第一主義』的な行動は私個人としては最近危険を感じている。
当然人が求めるものを提供することが人にとっての幸せになり、企業業績にも好影響を与え、雇用も生まれいいのだが、現在の社会問題も実はすべてこの『顧客第一主義』、似た内容として「市場主義」により発生していると考えている。
この問題は経済学では「合成の無謬」という言葉で言われる。
社会上の問題としては
・顧客のために最も安い価格で提供できる努力をするが、顧客を向き過ぎることで作る側の下請け企業の製品を買い叩くことに繋がり、賃金下落圧力が強まる。その結果は発展途上国の1日十数時間労働で数百円の賃金、といった状況や、日本国内のデフレを招いた要因の中・低所得者層の賃金下落圧力にも繋がっている。
・女性の社会進出と少子化。顧客のために仕事第一で可能な限り働き、それを効率的に実施することを最優先することで人口の一極化(一つの場所に集まった方が生産効率高くなるため)=→親と離れて子育て環境整わず子供産めない や、プライベートの時間や弾力性ある働き方が出来ない=子育てする時間を取れないので産まない といったことに繋がり、子育てと社会での仕事の両立のどちらかを取らざるを得ない環境にある
・環境問題(大気汚染や水質汚濁、生態系破壊等)←個々人は車に乗る移動利便性、汚れがしっかり落ちる洗剤や、食べ残し、治水のためのダムや堰堤などなど、個々人の利便性を最大限追求した結果。
といったことが発生していると考えている。(個々人が直接的に意図してそれらを生み出しているわけではないためより厄介な社会的構造の根本要因)
上記『顧客第一主義』と『社会第一主義』の企業で、後者は上記問題に加担していない、とは言わないが、よりその問題を進めているのは前者の企業の考えだ、と感じてる。
社会には『社会第一主義』的な理念を掲げた株式会社より、 もう少し進めた 社会全体の人々の人生の豊かさとのバランスを取れる 『社会企業』 がこの資本主義の基本思想の中にもっと増える必要があるのではないか、と考えている。
だから自分の作った会社では持続可能性と考えられることを足元からでもやっていくようにしているし、メンバーの子持ち(男)は全員家事・子育てを両立して妻の社会での活躍を支えているし、非常に大きな自由裁量を任せているし、そのための運営をしている。