前回記事では、株式会社creato(クリート)の自己給与決定制度を作るうえでの背景、思想面について記載した。
ここでは、2023年12月現在の具体的な自己給与決定制度について記載する。
【目的】
creatoパーパスである「人と社会の幸せのために」、既存組織より良い報酬制度として。
また、上記のために
・自主自立、自主的な判断可能範囲を広める
ことを方針にした形での流れ。
【制度骨子】
■既存組織の評価と給与連動による「働かせる」のでなく、自主的な「働く」の結果として給与を決めれる制度。
■事業/組織への貢献を自分で決めることで、事業展開の貢献=自身の給与 と出来るインセンティブ。
■「売上・利益」へのコミットメント意識により、売上下方耐性ある状態に。
■自身で給与を決めることで、時間配分も自主決定出来る=自主性の向上。
【制度概要】
個々人の給与を自分で決定する。よほど想定より上下に外れていない、または経営キャッシュ状況で許容できない状態でない限り承認する。(ただし社のキャッシュが足りない状態になれば、大きな額の給与の人からより多く削減されうる)
提供する情報は ①世間の平均給与や参考給与 ②社内の平均給与情報 ③自社の財務情報 ④自身の稼ぎとコスト(売上・費用配分する)。
左記に ⑤自分が必要とする給与(最低ラインと今後必要なもの) を想定し決定してもらう。
少なくとも、年収×1.18(会社負担社保等分係数)*(10/7)(人件費率7割とする。他社より高め) の価値(粗利+組織が求める価値) を出せているか?
定量評価を事前に実施した上で、7月後半~8月後半 で実施。
【期待効果】
・creatoの基本テーマの一つである『自主自立』を促す。
・自身で給与を決めることで、それだけの価値を出すコミットを宣言するのと同様となる。
・給与を自分で決めることで、給与面の不満を持ちようがない。
【上記期待効果を出すために修正してきた点】
初期:給与に直接は紐づけない多面評価を実施(多面評価内容は、基本軸の5つの項目+αで運用)
4年目:多面評価を事前に行うことで、無意識的にでも給与自己決定の判断に影響するとのことで、一度時期を外して実施。
→人数が増えてきた中で、代表自身の感触と自身及び各人の評価状態のズレが大きくなってきていることを感じたため、1年後一定ラインの評価として6段階中平均4以上取れていない人を対象を継続。多面評価は給与に紐づけるためではないが、参考情報の一つではあることは説明。
2023/9:現行の事業部制度では、事業部責任者壁打ち→代表への申告の2段階面談に変更。
2023年時点自己給与決定制度
・事業部責任者(今は2事業部)が壁打ち面談、代表瀬川が最終面談の2段階面談
・事業部責任者は事業部内の給与情報は把握。
【2023年時点で残っている改良点】
・給与アップは、全体の決算状況に心理的に影響されるようで、赤字だとほとんどの人がアップしない。これが結局給与が「上がらない」と考える要因になった。
CWP関連事業に可能な限り資金を使ってきたが、20人を超え、決算で赤字でも突っ込むというバランスは1回の決算であっても多数の人にとってストレスを与えるようである。(全体に関しては自身でコントロール出来ない要因だからと感じるからだろう。特に入社後日が浅い人、人に影響を与えるほどの能力がついていない人がより感じている様子)。
①黒字運営をしていくこと
②チーム単位での損益が見えるようになり、自身の活躍度合いが見えるようにする
といった前提を整える必要がある。
【今後の想定されるリスク】
・黒字になると、黒字額がギリギリになるところまで多くの人が給与を上げ続ける=人件費率が高くなるリスク
・新卒や社会人経験値が少ない人が自己給与を決めようとしても決める軸がなく、上げすぎor下げすぎで結局不安、不満を持つリスク
【適しやすい前提条件と自身が考えている条件】
・個々人の活躍度合いが数値で表しやすい職種、事業
自社ではこういうことをしている、こういうことが起こった、という事例がある会社があれば、是非情報交換しましょう。
Xの @segamail までDMを。